2011年10月14日金曜日

CEPA

台湾と中国のECFAについて「ECFAの謎?」で述べたが、香港およびマカオと中国のCEPAはECFAよりも政治、法的な性格が理解されていない。最近も、某大手銀行の人がCEPAを「経済貿易緊密化協定」と訳した上で、「香港と中国とは国同士ではなく一国二制度を採用する特別な環境であることからCEPAと呼ばれている」と的外れな説明をしていた(「華南ビジネス最前線#35本土と連携した香港経済の発展」『香港ポスト』No:1343、2011年10月7日)。

何が的外れかと言えば、CEPAの政治的な特殊性を説明するのに、CEPAの正式名称を確認せず、安易に「協定」を訳語に用いたことである。CEPAは、Closer Economic Partnership Arrangement の略である。中国語では「關於建立更緊密經貿關係的安排」である。中国語でも「協定」はagreementである。本来、arrangementとagreementは異なる訳語を当てるべきことは、「ECFAの謎?」でも述べたとおりである。香港の場合は、ECFAを締結した台湾と違い、中国語と英語で異なる単語を用いるという二枚舌を使う意図はない。だからCEPAについては、中国語から訳しても、英語から訳しても「協定」という単語は出てこないはずである。