2012年9月3日月曜日

住民票における台湾の表記 その3 (暫定的まとめ)

住民票での台湾の表記について、7月中に千葉市役所、千葉県庁から返答をいただきました。東京都庁にも、事実確認のため東京都の扱いについて問い合わせしましたが、こちらも同様にいただきました。それから、さらに時間がたってしまいましたが、頂いた回答を受けて、暫定的なまとめをしたいと思います。


まず、東京都では2008年5月30日付けで区市町村に事務連絡を行い、その中で、
「海外へ転出した場合に、転出先の住所をどのように記載するかについて、国名でも地域名でもどちらでも差し支えない」、台湾については「「中国」と表記しても、「台湾」等と表記してもどちらでも差し支えないということを挙げ」たとのことでした。ただし、実際の取り扱いは、 区市町村の判断となっているそうです。

 その1その2を先にご覧頂いた方は驚かれると思いますが、千葉市役所はこの東京都の動きを見て、すでに届出人の記載に応じて「台湾」の記載を可とする方針を出していました。千葉市役所よりも千葉県庁から先に回答を頂いたですが、「転出先の具体的な記載方法については、住民基本台帳法、国が示した住民基本台帳事務処理要領にも明確な定めはなく、各市町村長の判断による。千葉市においては、転出先の国籍について「台湾」か「中国台湾」かを転出者の希望に応じて記載する取扱いにしている」とのことでした。本当かと思ったのですが、千葉市役所からの回答も、やはり「東京都の動きを報道で知り、平成20年(2008年)10月以降、届出人の記載に応じて、「台湾」単独での表記を可とした」ということでした。そして、問題の原因は「職員に十分周知されいなかった」ためであり、「再度周知徹底する」「深くお詫びします」というものでした。

結論ですが、区役所の担当者は、千葉市役所が届出より随分前に「台湾」表記を認めていることを隠し、これから対応すると述べていました。これは、嘘の重ね塗りです

なお、千葉市役所への私のと合わせ内容と回答が千葉市役所ウェブサイト9/4時点の掲載内容で公開されています。ただ、かなり要約されている他、私が再度問い合わせた内容とそれへの返答は、記載されていません。また、正直、読んでもよく理解できない点もあります。問題の箇所はこれです。

本市職員がご説明した「中国(台湾)」の表記ですが、平成23年7月1日から外国人登録法の国名表記として認められたものであります。
実は外国人登録の方法が変わり、新しい「住民カード」では「台湾」の表記が標準になります。でも、本人が希望すれば、「中国(台湾)」も可能になるということです。でも、住民票の話ではないので、この箇所は、ひとまず飛ばして読んだほうがいいです。そして、千葉市が掲載した回答では、「本市職員」がデタラメを述べていないように読めます。しかし、繰り返しになりますが、実際はそうではありません。この人は、住民票にも「中国(台湾)」「中国台湾」としか書けないと最後まで言い張ったんです。

少なくとも、私の問い合わせ内容については、絶対に修正が必要だと思い、その旨を千葉市役所も申し上げました。特に、転出届けの際の担当者の言動や、実際に届けで証明に「中国台湾」と記載して発行されたことが明記されてないのでは、問題隠しにも思えるからです。

追記
千葉「市長への手紙」を再度送りました。
これは、説明間違いといより、不正行為じゃないのかという疑念を明確に伝えるためです。

以下は、その本文転載です。
※訂正:発行された届出証明の記載は、「中国(台湾)」ではなく、「中国台湾」でした。
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こちらの件ですが、改めて市長の回答と掲載、および必要な措置をお願いすることにしました。
http://www.city.chiba.jp/shimin/shimin/kocho/shiminnokoe/h24/h24416.html

市から頂いた補足回答を見て、この問題は、単に誤った説明を受けただけではない事がわかりました。
本質は、花見川区役所市民課担当者(以下、担当者)が、本来できる手続きを不当に拒否したことにあります。

千葉市は2008年10月に住民票などに「台湾」と記載することを決めていたとの回答でした。
しかし、担当者は届けの当日、「台湾は中国の一部である」というのが国の方針であると間違った説明を行い、「台湾」の記載を拒否して、「中国(台湾)」の表記で発行しました。

その後、私が政府見解に関する説明がでたらめであると資料をメール送付したのち、この点については間違いを認めました。
しかし、担当者は千葉市としては台湾の表記について検討中であると回答しました。その際、担当者は関係各所にも確認した話した上で、実際は届けでに基づいて「台湾」の表記が可能であることを説明しなかったのです。これは極めて姑息な行為であると思われます。

この時点で、私が事実を知っていれば、当然、再発行を求めることが可能でした。しかし、事実を知らされたのは、この担当者ではなく、転出後に、市役所本部からの補足回答でした。

このように、本来可能である手続きを拒否し、また、市民が求めた事が可能であるにも関わらず、そのことを隠匿し続けようとしたことは、不正行為ではないでしょうか?

そうであるなら、単に市の方針の周知徹底やWebでの回答掲載だけで済む話ではないように思えます。花見川区役所市民課の課長や担当者らの処分と、書面での謝罪を行うべき事柄ではないでしょうか。

付け加えれば、電話にでた担当者は届けで当日の電話において「『台湾』とだけ記載すれば、それは問題である」と発言しています。ならば、虚偽説明を繰り返し、可能な記載を不当に拒否し続けたことも、当然問題であるはずです。そして、この担当者は自身の問題について、責任を負う覚悟があってしかるべきです。

また、この担当者は、私のように届出の際、台湾の記載を求められ、今回のように拒否したことはないといっていました。しかし、これも虚偽であると疑わざるを得ません。不正行為であるなら、過去の届出においても不正がないかチェックをお願いします。
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【転載終わり】

2012年7月26日木曜日

台湾で必要なものメモ

(電源プラグ)2ピン→3ピン変換アダプタ
Panasonic アースターミナル付変換アダプタ WH2881P  (こちらのほうが安い)
サンワサプライ  2P→3P変換アダプタ TAP-AD1RN (少し値段が高い)

台湾の電源プラグ・コンセントは日本と同じと言われます。 しかし、台湾ではアースも一体化した3ピンのプラグも使えるコンセントがあります。
その場合は、アースは3ピン目に差すことになります。つまり、日本でアース接続が必要な家電製品を用いる場合は、2ピンから3ピンに変換するプラグが必要になります。ところが、これが台湾では見つかりません。(3ピンの電源プラグを2ピンのコンセントに差すためのアダプタは、容易に入手可能です。)
アースのコードを直接、コンセントの3ピン目に突っ込みましたが、 出来れば、ちゃんとした変換アダプタがあったほうが良い気もします。

接触型スマートカードリーダー
台湾では、銀行のATMカード(キャッシュカード)はほとんどがICチップ内蔵です。これを読み込む接触型スマートカードリーダーがないと、ネット上での銀行取引ができません。
日本では「ネットバンキング」といえば、ひたすらパスワードなどを多用しています。しかし、正直こんなの覚えきれず、変なところにメモしたり、暗証番号カードなんて余計なものを渡されるハメになります。これはこれで、安全性を高めるためかもしれませんが、利便性を損ねている気もします。
台湾では日本以上に、ネットバンキングの安全性に神経をとがらせています。そのため、日本のようなネットバンキングでできるのは、残高照会と公共料金の支払、自分の持っている同一銀行の口座間(外貨預金口座など)の資金移動ぐらいです。そのかわり、「ネットバンキング」(網路銀行)とは別に、ATMカードを使った「ネットATM」(網路ATM)なるものが存在しています。この「ネットATM」のために、台湾にATMカードはICチップを内蔵しているのです。
接触型スマートカードリーダーなんて、高いんじゃないのかと思われがちですが、台湾では200元(600円弱)前後で入手できます。こちらでは「ATM晶片讀卡機」として、大型スーパーでも売られています。中には160元ぐらいの激安品もあります。逆に安全性を高めるため、暗証番号入力キーを備えたカードリーダーハッキング対策を施した「神盾」(イージス艦並の防御力?)カードリーダーもありますが、やはり売れ筋は200元前後のもののようです。
銀行ATM以外にも、政府が発行する「自然人憑證」やプリペイドカードの読み込みもできます。「自然人憑證」は日本の住基カードに近いものですが、ネット上から申請できる(受け取りは窓口)ことや、ネットからの納税にも用いられるなど住基カードとの違いもあるようです。台湾はすでに「國民身份證」があり、市民全員に識別番号があることも背景にあるのかもしれません。外国人の場合は、居留証で代用します。ちなみに、ネットバンキングでのログインにも、これらの身分証の番号が必要です。

2012年6月23日土曜日


住民票における台湾の表記 その2


昨日(2012年6月21日)、区役所担当課宛に私の反論をまとめたメールを送付しました。その上で、本日、区役所に再度電話しました。
以下は、その概要です。ただし、私の記憶によるものであるため、実際の会話を忠実に表現していません。あくまで、やりとりの要点をまとめたにすぎません。その点、ご注意ください。
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<<「台湾は中国の一部」発言は撤回も、住民票の表記は適切と主張>>


担当者:メールは拝見した。指摘を受け、こちらでも外務省サイトを確認した見た。台湾と日本は有効な関係にあることは理解している。個人的には台湾に良い感情を持っている。
しかし、外務省のサイトを見ても、台湾は国として認められてない。当方の対応は、外務省の見解から外れていない。

私:日本政府が、台湾が国として認めていない点はそのとおり。問題は、「中国台湾」という表記である。これでは、台湾が中国の一部であると認めることになる。また、昨日の説明でもそうだと発言された。これは、政府見解と全く違う。外務省のサイトには、そう書いてあったのか?

担当者:外務省サイトにあるPDFファイルの資料「最近の日台関係と台湾情勢」を見た。その4ページに、その旨の説明がある。

私:ここには、そんなこと一切書いてない。
ここに書いてあるのは、日中共同声明の内容説明だけ。「台湾が中国の一部」というのは、中国の主張である。日本はその主張を承認したなどと、書いてない。「理解し、尊重する」とは、中国が自分の主張を述べることに反対しないという程度。
しかし、日本政府は、中国以外、例えば2007年に国連事務総長が「台湾は中国の一部」と述べたときは、国連代表部を通じて抗議した。これが日本政府の方針である。

担当者:でも、台湾は国じゃないですよね。住民票には国を書かないといけない。だから、まず中国と書く必要がある。

私:国じゃなければ、台湾は何なのか?ちゃんと考えているのか?国じゃない、いわゆる地域は普通、宗主国などその地域の主権、つまり領有権を持つ国がある。香港やグアムはその事例だ。グアムはアメリカの主権下にある。軍隊も駐留している。
しかし、台湾は地域といっても、全く違う。台湾はどこの国にも所属していない。その点で、宙ぶらりんなのだ。それを、なぜ、中国に所属すると決め付けるのか?

担当者:国を書かないといけないんですよ。だから中国台湾としている。

私:それが政府見解と違うのだ。そもそも、台湾人の国籍が中国扱いなのは、過去の名残。つまり、日本が中華民国を承認していた時代の扱いである。
仮に今でも、日本が中華民国を承認しているなら、中華民国台湾地区といえるだろう。それを略して、中国台湾といえるかもしれない。
しかし、日本は中華民国を承認していないし、まして「台湾が中華人民共和国の一部だ」とも認めてない。
これで、どうやって、台湾が中国に帰属しているといえるのか?
台湾がどこの国に所属するのかは、宙ぶらりんのままなんだから、そのままで使えば良い。

<<住民票の表記と外国人登録は、やはり関係していたと認める>>

担当者:中国の一部でないことはわかった。でも、住民票は国名を書かないといけない。

私:国名に、台湾をカッコつきで書いている程度であったなら、あなたの説明で良いだろう。しかし、中国台湾と書く理由は、全く説明できていない。
国籍表記の問題は、役人のなかに自分の担当分野に国の外交の結果を反映せず、そのまま放置したことによることで、起きている問題の一つだ。
しかし、この点についても、国の方針は変わっているはずだ。すでに外国人登録では、パレスチナや台湾の表記が可能になった。国の見解があるから、中国台湾と書かなきゃいけないというのは、嘘じゃないか。
東京都は2008年にいち早く、住民票に「台湾」との表記できると、区市町村に通達した。その時に「千葉市も同時にやれ」といっても、できないかもしれない。でも、外国人登録に関する法改正は、2,3年前に出来た。その後なら、国の方針云々の話はなくなる。なのに、尻込みしているのは、千葉市の問題じゃないか?

担当者:それについては、今、総務省に問い合わせている。千葉市としては、国籍をどう書くべきか、総務省の回答を待ちながら、対応を考える。


私:総務省の回答待ちというのが、おかしい。東京都下の区市町村は、ばらつきがあるようだが、独自に判断し、「中国」抜き、「台湾」だけの表記に切り替えている。なぜ、総務省にばかり責任を押し付けて、自分で判断できないのか?

担当者:それについては、私にはなんとも言えない。ただ、あなたがおっしゃる問題は、千葉市としても検討するが、まだ結論が出ていないが現状だ。

私:検討や問い合わせは、いつしたのか。私に言われて、始めたのか?

担当者:外国人登録の方法が変わり、外国人の住民台帳に載せることになった。その法改正の直後から、市として検討を始めた。

私:昨日、あなたは昨日、私に「外国人登録の問題と住民票の問題は別だ」と言いましたよね。


担当者:今日のメールでの指摘を受け、各所に確認したら、今話したような状況だとわかった。
(注)

<<デタラメを市民に流布したあとの後始末も、今後の検討課題>>
私:間違いだとわかったのなら、今後、どう対応するのか?

担当者:まだ検討中で、時間がかかるとしか言えない。いずれ、対応はする。

私:表記の修正を事務的にやる以外にも、やるべきことがある。いままで、あなたは「『台湾が中国の一部』というのが国の見解だ」と、事実と異なる事を市民に説明してきたんですよね。

担当者:今まで、同様の指摘を受けてこなかった。だから、「台湾は中国の一部」だという話は、他の市民にしたことはない。むしろ、クレームがなかったから、今まで間違いに気付かなかった。

私:一般市民は、まさか公務員や役所が、法令や政府見解を破るとは思ってない。また、それらと違う説明を受けるとも思ってない。役所が住民票に台湾のことを「中国台湾」と書けば、それが正しいと思ってしまう人もいる。
それに、あなたは、正確な情報を持っていない人に、嘘の説明をした。昨日は、私にも「外国人登録と住民票は別問題だ」といったでしょう。公務員が嘘をついても、一般市民は、それを信じてしまう。私は怪しいと思ったが、改めて調べてみないと、反論材料を提示できなかった。多くの人は、役所の説明を反駁できるだけの材料を集められない。役所にあえて論戦を挑む勇気があるともかぎらない。だから、黙って、かえるだけじゃないのか?
で、今後どうするのか?私には間違いを認めておいて、他の人が台湾への転出入を届けて「表記がおかしい」と質問してきたら、また「台湾は中国の一部」なんて、言うのか?

担当者:そうではないと、わかった以上、今後は言わない。

私:いままで市民に誤解を与えてきたことについては、どうするのか?
ちゃんと訂正しないといけないでしょう。
千葉市として問題を総括して、市民向けの広報誌で説明するべきでしょう。
また、窓口でも、質問もせず、「台湾は中国の一部」と思って帰る人がいないように、ここで確認した事実をまとめたパンフを用意して渡すこと。そして、正直に、話して理解を得るべきでしょう。

担当者:それも今後の検討課題とさせて頂きます。

私:では、どうなったのかを、きちんと、私に知らせてほしい。
市のサイトで、市長あての投書もしたが、そちらからも、きちんと連絡してほしい。
再び、千葉市にどってきた時に、同じことが繰り返されていれば、また同じように抗議させてもらう。

担当者:わかりました。
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感想

根拠を示せば、一応、聞く耳は持ってもらえました。
しかし、昨日の「国の方針」一点張りの態度をみると、やはり知識がない人からの異論だったなら、あしらわれただろうという気がします。不特定多数の人を相手にする職業なので、変な人に当たることも多いのかもしれません。
(後日談:電話した直後は、そう思いました。しかし、後日、この電話でも担当者に騙されていることが分かりました!!下の(注)を御覧ください。)


しかし、さすがに台湾が中国だなんて、普通に考えれば、違和感を持ちます。市役所の担当者は、そういう違和感を感じないのか、感じても、仕事だから前にすすめるだけなのでしょうか?これは、恐ろしいことです。

問題の深刻さが違うかもしれませんが、戦時中は、勝手に天皇陛下の名前を語る人が増殖し、ニセの勅命が乱発されて、多くの人が死に追いやられました。「中国は台湾の一部」というのは、日本政府ではなく、中国政府の主張です。今回の問題は、それと共通する点がないでしょうか?

ニセものの「国の方針」を掲げる住民登録の担当者は、他の自治体でもいると聞きます。住民票の表記にとどまれば、人は死なないかもしれませんが、論理矛盾が放置される社会環境を正さないと、いずれ、大きな矛盾が生まれると思います。

いずれにせよ、千葉市では、とりあえず改善の方向に動くそうです。でも、本当なのか、今でも少し疑っています。もし、今後、千葉市の役所で台湾への転出、台湾からの転入、台湾籍の方による手続きをされた方で、担当者から「台湾は中国の一部」と言われることがあれば、私までお知らせください。改めて、私から強く抗議したいと思います。
申し訳ありませんが、他の自治体については、担当者に一から説明しないといけないので、私の手にはおえません。どなたか、自信のある方が率先して切り込んでいただくようおねがいいたします。

(注)実はこの下線部の説明も、全くのデタラメでした。千葉市役所は2008年10月に、住民票で「台湾」だけの表記を可とする方針を決めていたのです。各所に確認した後の説明ですから、再び勘違いで間違った説明をしたとは考えにくいです。詳細はその3を御覧ください。

2012年6月21日木曜日

住民票における台湾の表記 その1

行政の現場では未だに台湾が「中国の一部」として扱われていると、聞き及んでいましたが、私もこの問題に直面してしまいました。
海外赴任のため、千葉市で転出の届出をしたところ、台湾は中国だと言われ、届けの証明にもそう記載されたのです。「中国に行くんじゃない。」といったのですが、担当者は口頭で説明しても、「国の政策として、台湾は中国の一部となってる。それ以外の書き方をすれば、そのほうが問題だ。」といって、「台湾」との表記を拒否されました。
色んな手続きに必要なので、問題が解決しないまま、証明書を受け取ってしまいましたが、市役所に改めて質問をしました。
以下は、個人情報を除いた上で、再掲載するものです。

メール送付後の経過については、その2を御覧ください。
暫定的なまとめをその3として掲載しました。


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お電話では、「中国(台湾)」(注)での表記が法令上正しく、「台湾」だけの表記は法令上問題となるとの電話でご回答頂きましたが、
自身の勉強も兼ねて再度調べてみました所、不正確と思われる点がありましたので、お知らせしておきます。


第1点は、台湾が中国の一部だと、我が国政府が認めているという回答ですが、これは明らかに間違いです。

まず、政府見解は平成17年(2005年)の国会答弁にあります。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b163066.htm
この意味は、中国が「台湾は自国の一部」と言っているのに対して、日本政府は「理解し、尊重する」ものの、「承認はしない」ということです。

我が国政府はこの考えにもとづき、「台湾が中国の一部」としたパン国連事務総長の見解に反論したこともあります。
2007年に台湾が総統の名で国連に加盟申請書を送付したところ、国連事務局がこれの受け取りを拒否した時です。

この点は、政府の委託を得て台湾との関係を扱っている交流協会の池田台北事務所長(当時)が、上記の事実を公表し、
また、政府見解に関する解説も、交流協会機関誌の中で行っています。(以下、URLの4ページ)
http://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/21/25B06476300916224925740800353FE4/%24FILE/2008_01_31.pdf

この記事そのものは個人的な意見との断りがありますが、政府見解と異なる場合は、外務省が「政府見解と異なる」旨を表明します。
実際、池田氏の次に台北事務所長となった齋藤正樹氏が、政府見解に含まれない個人的意見を述べた際は、外務省がその旨を表明しました。
しかし、池田所長による解説については、外務省も訂正をしていませんので、間違っていないことが確認できます。
(もし、池田所長の解説が、政府の公式見解と違うなら、その根拠を教えて下さい。)


第2点は、外国人登録では国籍に変えて台湾の表記が出来るが、これは住民票と別の問題だとする回答です。
こちらは私の専門外なので詳細は分かりませんが、やはり正確であるとは言いきれないように思われます。

以下URLでは、総務省が外国人登録での記載と住民票の表記を一致させる必要があると答えています。
http://melma.com/backnumber_100557_5567340/
外国人登録に関する法改正は最近であるため、台湾人の登録内容が個人によって異なるとはいえ、住民票にも影響する問題のようです。

また、2008年には東京都が住民票において、台湾だけの表記が可能であるとの通知を都下の市町村に出していま
したがって、これは国で定められた法令上の問題ではなく、千葉市あるいは区役所としての独自判断ではないのでしょうか?
また、転出先表記についても、本当に法令上問題になるのかは、疑問に思われます。

そもそも、国の見解云々を言う場合、異なる制度、政策で対応が違うなら、どれが正しいのか確認する必要があるはずです。
我が国においては、国際関係を扱うのは外務省であり、同省の方針は総理大臣の判断に従っているはずです。
上記の「理解し、尊重する」云々の文言も、初出は日中国交回復に関する共同声明にあり、これは当時の田中角栄総理大臣および大平正芳外務大臣の判断によるものです。
現在の政府、総理大臣も、同様の立場を取っている以上、各省庁や自治体が異なる「政府見解」を作り出す事はできないはずです。
もし、従来の事務慣習から、台湾に関する政府見解を想像されていたのでしたら、外務省にも確認した上で、住民票の問題を管轄する総務省に対してにも齟齬の理由について確認するべきではないのでしょうか?
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(注)実際の住民票の転出先記載を見たら、「中国(台湾)」ではなく、「中国台湾」でした。届出をしたのは家族で、その電話で受けて、区役所担当者とも電話で一度話した際、「中国(台湾)」になると言われました。メールを書いたのは、そのすぐ後なので、住民票の現物は確認していませんでした。


続編があります

このメールの後、区役所に電話しましたが、定時を過ぎていたためか、つながりませんでした。そのため、翌日、改めて電話をかけました。その概要は、こちらです。

2012年1月16日月曜日

台湾 2012年総統選挙、立法院選挙

  2012年1月14日、台湾の総統及び立法委員選挙が行われ、国民党の馬英九総統が再選された。ただし、馬総統の得票率は51.6%であり、前回2008 年選挙の58.45%から大きく下がった。また、立法委員についても国民党は64人の立法委員候補を当選させ、立法院での過半数議席を確保したが、前回選 挙での81議席から大きく減らした。
  一方、民進党の蔡英文候補(同党主席)席は景気の低迷や貧富の格差を上げて馬政権を批判し、一部の世論調査結果では馬総統を上回る支持を得たこともあっ た。しかし、結果は前回選挙での謝長廷候補の得票率(41.55%)を上回ったものの、馬総統の逃げ切りを許してしまった。2010年5直轄市選挙の時に 比べて、民進党の党勢は弱まった感がある。さらに、立法委員選挙の比例代表選出枠における民進党の得票率は、意外なことに2008年よりも低下した。つま り、民進党には地方政治を任せても、国政をかませることには躊躇した有権者がいたのかもしれない。
  今回の総統選挙では、従来国民党と協力関係にあった親民党から宋楚瑜同党等主席が立候補した。このため、国民党に近い支持層が割れる可能性があり、国民党 は「宋楚瑜に投票するのは蔡英文に投票するのと同じ」だと有権者に訴えるなど、その可能性を警戒した。結果は、宋楚瑜候補の得票率は事前の世論調査よりも 少なく、指標になることを恐れた有権者が馬英九政権支持に回ったものと見られる。

  選挙結果の要因は、民進党の蔡主席が政策の詳細で争うことを避けたため、馬政権に対する批判票を十分に集められなかったことが考えられる。蔡主席は一昨年 から「十年政綱」を分野ごとに、徐々に発表し、時事上の政権構想、政策綱領を有権者に示そうとした。しかし、蔡主席自身が争点に掲げた景気や格差について 具体的な解決策を示せず、従来からの政治的争点である対中国政策についても曖昧な姿勢にとどまった。
  この他にも、民進党側には、副総統候補であった蘇嘉全同党秘書長が農業用地に違法建築の住宅を所有していた問題や、農民の窮状を訴えるパンフレットで、価 格の高い甘柿の写真を掲載しつつ、安い渋柿の値段を示した問題などの失点もある。さらに、蔡主席が行政院副院長時代に自らの天下り先を確保するため、政府 ファンドによる企業への投資を承認したという疑惑も、政府(経済建設委員会)によって暴露されている。こうした激しいネガティブキャンペーンは、国民党側 にもブーメランのように跳ね返っている。農地に立てた違法な住宅については、国民党の政治家の複数が持ったことが明らかになっている。また、蔡主席の天下 り疑惑には政府側の出した証拠に不備があったなど、信憑性に疑問が残る部分もある。
  一方、馬政権は経済政策や対中国政策での成果をアピール、前回選挙同様、政策能力の高さを有権者に示そうとした。とはいえ、経済については景気回復基調に あるとの統計数字を示したが、実際には企業による雇用調整が行われていた。副総統候補でもある呉敦義行政院院長は企業による違法な「無給休暇」(解雇もし ないが、給与も支給せず、労働者に休暇を命じる措置)を讃美するような湿原を行うなど、不安を持つ有権者の実感とは異なる認識も示した。
  対中国政策については確かに中国との関係改善、特にECFA(経済協力枠組協議)の締結という成果があるものの、馬総統や側近が馬総統の訪中や中国との平 和協議の可能性に言及し、有権者の「統一交渉に入るのではないか?」という不安を煽ってしまった場面も見られた。そのため、馬総統は平和協議の前にレファ レンダムを実施すると述べ、懸念の払拭に務めた。このように、今回の選挙結果から、馬政権の対中国政策が支持されたと断定することはできない。2期目には 投資協定やECFA継続交渉など残された課題の処理が課題として残され、1期目ほど華々しい成果をあげることは難しい。台湾の有権者や野党民進党は中国と の関係改善が国際組織への参加や主要国とのFTA締結のような台湾の国際空間の拡大につながるのか注目するだろう。つまり、1992年コンセンサスが馬政 権の言うとおり、「一つの中国、各自が表現(解釈)」であり、国際社会への参加においても通用するものなのか試されることになる。しかし、中国は平和協議 のように馬政権が避けたいと考えるテーマを打ち出してくる可能性もある。馬政権の再選は必ずしも台湾と中国の関係が順風満帆に進むことを保証しないだろ う。
 いずれにせよ、馬英九政権に積極的な勝因を求めるのは難しい。むしろ、国民党にかわる政権の受け皿であることを有権者に十分に政策能力を示せなかったという、民進党側の敗因の方が大きいのではないか。