EFTA(欧州自由貿易連合)はFTAの段階にある。関税同盟であり、なおかつ共通通商政策を執行するEUとは違い、EFTA自体がFTAを締結することはできない。 今回締結されたのは、EFTA参加国であるリヒテンシュタイン、スイス、ノルウェー、アイスランドと香港(Hong Kong, China)によるマルチラテラルFTAである。
今回のFTAは、CEPと同様、物品およびサービスの貿易、知的財産、投資、政府調達、競争政策などの内容を含む幅広い内容となっている。EFTA参加国のうち、スイスは香港にとって7番目の輸出先である(2010年時点、参考資料3)。一方、香港はEFTAにとって16番目に大きい貿易相手である。ほかの主要貿易相手国にEU諸国が多く、15番目までの貿易相手のうち10カ国がそうである(2009年時点、参考資料5)。
本FTAの交渉は2010年1月から行われていた。ニュージーランドとのCEP交渉が2009年内に事実上 終わり、その後、主要国とのFTA交渉の予定がなく、EFTAとの交渉が開始されたのかも知れない。いずれにせよ、近隣のアジアとのFTAやASEAN+3、アメリカの参加を表明しているTPPへの対応は、まだ香港政府から明確な方針が出ていない。香港のFTA締結をめぐる政治的に敏感さは、完全に払拭されていないようである。
参考資料
- 「香港與歐洲自由貿易聯盟國家簽訂自由貿易協定」香港政府新聞公報および香港政府新聞網 2011年6月21日
- 「香港與歐洲自由貿易聯盟國家自由貿易協定」 工業貿易署
- 「港產品出口往十個主要目的地的貨」 香港政府統計処
- 'EFTA States and Hong Kong, China sign Free Trade Agreement' The European Free Trade Association Official Website
- Fig14 EFTA’s main trading partners in merchandise trade: 2009, “This is EFTA 2011”